トレーラーハウスとは?キャンピングカーとの違いは?

2021年1月20日

トレイラー・ハウスとは?

トレーラーハウスを指す言葉として、様々な表現があります。モービル・ホーム、ハウス・トレーラー、トレーラー・ホームなどなど・・・。日本では、「トレーラーハウス」という表現が、国土交通省としても定義されていることから、最も一般的になっています。

皆様はトレーラーハウスについて、どのようなイメージをお持ちでしょうか?銀色のアメリカントレーラーのエアストリームを思い浮かべた方も多いのではないでしょうか。あるいは、カントリーホームのようなものを想像された方もいらっしゃるでしょう。
また、トレーラーハウスといえば、東日本大震災や度重なる豪雨災害における仮設住宅の役割を果たしたということを思い出す方も多いかと思います。

1. トレーラーハウスの概説

トレーラーハウスとは、車で移動・移設できる小さな家(ハコ)のことを言います。日本においては、建築基準法における「建築物」には該当せず、道路運送車両法における「自動車」として扱われます。

トレーラーハウスは、大型の牽引車両で、道路を通って、その土地まで運ばれてきます。運んだあとは、インフラへの接続が必要です。インフラについては、電気・水道・ガスを使用することができます。電気と水道は、都市インフラに接続することができますが、ガスはプロパンガスのみという制約があります。都市ガスはご使用になれません。

そして、トレーラーハウスは、車両であるために守らなくてはいけないことがあります。それは、トレーラーハウスは、「随時かつ任意に移動させることができること」ということです。それが大きな条件となっており、それが確保できる立地(駐車)条件を確保することが必要です。

トレーラーハウスは、まさに必要に応じて動かすことのできる可動性があるという魅力を持ちながらも、反面、それが成立するよう設置者側が条件を順守することが必要なものとなっています。

2. キャンピングカーとの違いは

トレーラーハウスがよく比較されるのは、なんといってもキャンピングカーです。トレーラーハウスもキャンピングカーも、ナンバーが付いているという点では、法律上は「自動車」という扱いになっています。トレーラーハウスもキャンピングカーも、道路運送車両法上は自動車とされており、ナンバー取得の際には、車庫証明が必要となります。

キャンピングカーは、エンジンがある「自走式車両」であるという点が最も大きな違いです。それに対して、トレーラーハウスは、「被牽引車両」であり、自走ができません。

また、キャンピングカーは、通常普通免許でも運転できるサイズに収まっていることが多いのに対し、トレーラーハウスの場合は、牽引免許が必要なサイズであることが多いことも、両者の違いとしては大きな点といえます

サイズの違い

キャンピングカーのサイズは、最大サイズのものでも、車幅約2m×全長5m×高さ約3m(※運転席を含みます)以内のサイズに収まっていることが多いです。ハイエースやキャラバンなどの車両をベースとして改造されることが多いです。
それに対して、トレーラーハウスの場合は、ベース車両というかたちでなく、ベースとなる鉄骨シャーシの上に軽量鉄骨あるいは木で建築のように製造するということとなりますので、キャンピングカーよりもはるかに製造上の自由度があるといえます。

たとえば、ナンバーありのトレーラーハウス(道路運送車両法の保安基準第2条の制限以内)の場合は車幅2500mm以下 全長12000mm以下 高さ3800mm以下まで大きくすることができます。室内有効面積では、28㎡程度の面積を確保できることから、より充実した設備を設けることができることも、トレーラーハウスとキャンピングカーでの違いであるといえます。

3. トレーラーハウスの日本における定義は?

トレーラーハウス」という呼称には、法的には2種類あります。

建築基準法では「トレーラーハウス」と定義されているのに対し、道路運送車両法では「トレーラ・ハウス」と定義されています。少々ややこしい話にはなりますが、建築基準法上のトレーラーハウスは、道路運送車両法でいう保安基準第2条の制限を超えたトレーラ・ハウスと、保安基準第2条の制限を超えない車検付きトレーラの両方を含むこととなっています。

トレーラーハウスと道路運送車両法

日本建築行政会議で定められている「車両を利用した工作物」では、「適法に公道を移動できること」ことが、建築物ではなく自動車として該当するための条件と規定されており、それに関する法律として、道路運送車両法への準拠をすることとされています。
道路運送車両法では、以下のようにトレーラーハウスの区分が定義されています。

(ア) 保安基準第2条の制限以内のトレーラーハウス

・ 車幅2.5m以下、全長12m以下、高さ3.8m以下の場合は車検をできる大きさのため、公道を走行する場合は、安全基準を満たし車検を取得して運行しなければならない。

(イ) 保安基準第2条の制限を超えたのトレーラーハウス

・ 車幅2.5m以下、全長12m以下、高さ3.8mを大きさで超えるトレーラーハウスは、運輸局で基準緩和の認定を受け、道路局で特車両通行許可を申請のうえ取得して行動を走行しなければならない。

このように規定されています。

また、日本建築行政会議で定められている「車両を利用した工作物」では、解説文として以下のことも記載されています。

・ 臨時運行許可(仮ナンバー)や特殊車両通行許可等を受けたことだけでは、「随時かつ任意に移動できるもの」とは判断できない。

このように記述されており、特に(イ)に該当する車両の場合は、注意が必要となります。具体的には、トレーラーハウスの購入の前に、所管行政庁との事前に設置場所や設置する車両の仕様に対し確認をすることが必要となるといえます。

なお、一般社団法人日本トレーラーハウス協会では、トレーラーハウスは下記のように定義されています。
「随時かつ任意な移動性を確保するために、下記の3つの条件が実現されている」もの

  • 一定期間定置で使用し、必要に応じて工具を用いずにライフライン等を着脱できること。
  • 階段やベランダ等をトレーラーハウス側に固定させたり、トレーラーハウスの移動を妨げる柵や塀を用いたりする事なく、設置地から公道に至るまでの移動経路が確保されていること。
  • 牽引して(自走式でなく)支障なく道路を運搬移動できること。

つまり、車両として認定されるためには、ナンバーを取得する、牽引できるという、車両単体での状態のみを見ればよいというのでは不十分で、設置されている状態が非常に重要であることがわかります。
これを逸脱して設置した時点で、これはトレーラーハウスではなくなるということでもありますので、気を付けたいところです。

車両でなくなると、法律上どのように解釈されるかというと、

A:建築確認申請を取得して「建築物」となる

B:建築確認申請を取得しない場合は、法律上は違法設置物となる

というように解釈されます。

トレーラーハウスの車内では、人が生活することができるため、居住空間としてみなされますが、正常な状態では、任意・随時に移動できる状態を保っており、期間限定での設置であることから、建築物ではなく車両とされています。しかし、その状態を保っていなければ、違法となってしまいますので、適法な状態を維持することが非常に重要となります。

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