トレーラーハウスのメリットは?

2021年1月21日

キャンプ場やゴルフ場、道の駅、複合商業施設など、これらの施設のご担当者のなかでも、トレーラーハウスのメリットやデメリットについて知りたい、報告したい、整理したいという情報ニーズは、大変よくお声があることです。
今回は、トレーラーハウスの「メリット」をお伝えしていきます。メリットについては、ぜひご理解いただき、そのメリットを活かして新しい企画やチャレンジのご支援を弊社ご提供できればと思っています。

トレーラーハウスには、多くのメリットがあります。

  • 車両のため、建築確認申請が不要
  • 空いている土地で事業に活用
  • 短期間の償却期間(4~7年)
  • いつでも場所を移動することが可能
  • 工場製作のため、品質確保が安心
  • 現地工事が少なく、負担軽減
  • 売却でき評価額が比較的安定

これらを一つずつ解説してまいります。

メリット

(1) 車両のため、建築確認申請が不要

第1回「トレーラーハウスとは」でも記載したとおり、トレーラーハウスは法的には「車両」あるいは「自動車」として扱われます。各トレーラーハウスを車両として扱うための法的な手続きとしては、「車検」を受けることが必要となり、また税金面では自動車税、重量税、自動車取得税が発生することとなります。
車検については車として公道上で動かすときに必要になるものです。初回は2年、次年度以降は毎年必要になります。それらのことを継続実施して、「車両」としての法的根拠を維持することが大変重要になっています。
上記のような状態を確保・維持することにより、建築基準法上の「建築物」ではなく、道路運送車両法上の「自動車」と認定されます。

自動車では、建築基準法が適用されないこととなりますので、建築する際に必要となる建築確認申請が不要となります。建築確認申請が必要なくなることにより、下記のメリットが生じます。

  • 一敷地における群棟配置が可能。
  • 建築確認申請という時間がかかる書類審査が不要。
  • 建築基準法における制約を受けない。

但し、最下に記載した「建築基準法上における制約を受けない」という項目については、利用空間としての安全性確保は大変重要ですので、必要はなくても十分に留意して検討することが必要です。
キッチンを設けて営業する場合は、保健所への確認が必要になります。
また、設置検討の際には、各行政における建築指導課への確認をすることを弊社ではお勧めしています。行政によっては、トレーラーハウスを「自動車」ではなく、例外なく「建築」としてみなすという判断をしている場合もありますので、十分に注意が必要です。

(2) 空いている土地で事業に活用

たとえば、キャンプ場やゴルフ場、道の駅、複合商業施設、これらの施設のご担当者のなかでも、空間は増やしたいが、「容積率消化済で床を増やせない」「建築確認申請は出せない」などの物理的あるいは法的ハードルにより実現できないケースは多々あるかと感じています。
また、空間の配置と利用者ニーズは一体的なものであり、ちょうどココに空間がほしいという、施設が開設してからの人の動線により分かった事実もあることでしょう。

そのような状況にも、トレーラーハウスは活用することができます。
まず、トレーラーハウスは車両であることから建築面積にカウントされないために、ニーズがある敷地内の空地に後付けで設置することができます。また、車両として移動させることができるため、動かしながらお客様の反応をABテストすることもできます。たとえば、季節ごとに敷地内を移動させる、ということも可能です。

また、都市部においては、複合開発前における工事前の空地の暫定利用という面でも活用することができます。キャンプ場やゴルフ場、道の駅、複合商業施設の皆様にとっては大変大きなメリットでしょう。

なお、空地に設置する際にも、公道までの移動ルートを確保することは必要条件ですので、十分に認識をお願いいたします。

(3) 短期間の償却期間(4~7年)

㈳日本トレーラーハウス協会では、トレーラーハウスの減価償却は4年と定義されています。また、トレーラーハウスを構成するシャーシ(車体)と上物(空間)で分けて考えた際に、上物は簡易建築物程度の7年とみられるケースもあります。詳細は、税理士とご相談・ご確認いただく必要がありますので、注意が必要です。

建築の償却期間は、用途によっても異なりますが、木造では20~24年、鉄骨造では19~38年、鉄筋コンクリート造では34~50年という耐用年数に沿って規定されていますが、トレーラーハウスは用途に限らず上記のように定義されており、償却メリットを享受できる投資商品としても見られる場合もあります。

(4) いつでも場所を移動することが可能

トレーラーハウスは、工場で製造して計画地まで牽引して設置します。設置に際しては、土地に対して固定することは禁止されています。固定性の高い杭やボルトで地面あるいは基礎に固定すると、その時点で「随時かつ任意に移動できる」状態からは逸脱していることとなります。また、接続するインフラも、特殊工具を使用することなく、着脱することが必要です。

トレーラーハウスには牽引部分があり、トレーラーによっていつでも場所を移動させることが可能です。
移動することができることにより、建築計画における長期にわたる運営を前提とした計画を立てる必要がなくなることは、事業計画上も大きなメリットであるといえます。

(5) 工場製作のため、品質確保が安心

(6) 現地工事が少なく、負担軽減

この2項目については、同時に記載してまいります。

筆者自身も一級建築士ですが、建築施工における「品質、コスト、スケジュール」管理は大変責任が重く、ストレスのかかる業務であることは、毎回の建築計画のときに大きく感じることです。スケジュール通りに、満足できる品質のものがコストに収まって納品されることが当たり前と考えている発注側もいらっしゃるなか、施工を管理する現場のご担当者の物理的・心理的負担は大変大きなものです。

トレーラーハウスは工場で製造するため、一般的には品質が非常に良く安定しています。製造する工場担当者は、自動車工場のように、それほど変化しない仕様を分業により担当しているため、品質のブレは小さくなる傾向にあります。

また、現地工事がほとんどないため、品質管理のご担当者の負担も軽減することができ、トレーラーハウスのコスト以外のサンクコスト(見えないコスト)の削減、つまり品質管理にかかる人件費の圧縮や生産性向上にも大きく寄与することとなります。

(7) 売却でき評価額が比較的安定

建物の物件の価値は、「土地」「建物」を合わせて、一般的に評価されます。特に建物の場合の土地の評価は、物件の評価にも少なからず影響することともいえます。どれだけ仕様やデザイン性の高い建物であっても、土地にかかわる立地や地盤安定性、関係人口などの条件で相対的に魅力が低下すると、建物の評価も落ちることとなります。

トレーラーハウスの場合は、移動させることができるため、売却の際は、土地評価の変化に対して影響を受けにくいこととなります。自動車では、車種によって年式やモデル、使用状況によって評価額が変わりますが、トレーラーハウスも同様に、デザイン、仕様、使用状況などによって評価額が算定されることとなります。現在(2021.1)では、中古トレーラーハウスを購入されたいという利用者も多い状況が続いており、評価額も比較的安定している状況となっています。

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以上、メリットについて7点記載していきました。トレーラーハウスは非常に多くのメリットがあるプロダクトといえます。これらの特徴をしっかりと理解いただくと同時に、トレーラーハウスとしての法的条件を継続的に実行することが重要です。

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