
今回は、前回のメリットに引き続いて、デメリット(気を付けること)についてお話ししてまいります。
前回の記事では、メリットについて下記の点を挙げてまいりました。
- 車両のため、建築確認申請が不要
- 空いている土地で事業に活用
- 短期間の償却期間(4~7年)
- いつでも場所を移動することが可能
- 工場製作のため、品質確保が安心
- 現地工事が少なく、負担軽減
- 売却でき評価額が比較的安定
それに対して、デメリットとしては下記のようなものが挙がります。
- 運搬コストがかかる
- 重量制限がある
- 動かすことを前提とした素材の制約がある
- 都市ガスを使用できない
これらを1つずつ解説してまいります。
トレーラーハウスは、デメリットはあるものの、メリットも大きいため、これらの点に注意しながら、適切な使用とメリットを活用した環境整備を両立していきましょう。
デメリット
(1)運搬コストがかかる
トレーラーハウスは、法律上は道路運送車両法上の「自動車」とされています。一般的には、工場で内装まで含めて完成品として製造され、車検を受けて、設置予定まで運ばれてきます。トレーラーハウスは通常は大型になるため、普通自動車免許での牽引は法的に認められていません。そのため、牽引免許を保有している事業者に、運搬の業務依頼をする必要が発生します。
運搬にかかる費用としては、立地条件にもよりますが、1台につき30万円前後の想定でよいでしょう。
なお、牽引免許が不要なトレーラーハウスも存在しています。正確に記載いたしますと、「保安基準第2条の制限以内のトレーラーハウス」にはさらに2種類のトレーラーハウスに大別されます。
- 総重量が750kg以内のトレーラーハウス
- 総重量が750kgを超えるトレーラーハウス
ここで、②に記載したトレーラーハウスが、牽引免許が必要なトレーラーハウスとなります。
①の場合のトレーラーハウスは、牽引免許が不要で、普通自動車で運搬することが可能です。なお、ご自身で運転して牽引する際には、牽引装置の取り付けと牽引可能範囲の登録が必要です。
なお、牽引免許は、中型免許、大型免許とは異なる免許となりますので、注意が必要です。
(2) 重量制限がある
先の記事「トレーラーハウスとは」にて、トレーラーハウスには、「保安基準第2条の制限以内のトレーラーハウス」と「保安基準第2条の制限を超えたのトレーラーハウス」の2種類があるというお話をいたしました。
「保安基準第2条の制限以内のトレーラーハウス」では、車検を受け、ナンバーが発行されます。保安基準の条件のなかに、「総重量2500kg以内であること」ということが条件となっています。
「保安基準第2条の制限以内のトレーラーハウス」は、全長で短いものでは3m程度から、長いものでは、12mまでが認められています。
重量制限で関わってくるのが、車両内外の素材・仕様となります。基準としては、社内外の仕様で、運搬時に積載(つまり取り外ししないもの)は、重量制限の対象となってまいります。全長が短いものに関しては、重量のある素材を、仕上材として使用しても問題はないですが、全長が長いトレーラーハウスになってきますと、重量制限により使用できる素材が限定されてくる可能性があることには注意が必要です。
(3) 動かすことを前提とした素材の制約がある
トレーラーハウスは、あくまで車両として認識いただくことが、大変重要です。トレーラーハウスは、工場からの運搬時には、場合によっては高速道路や急な坂道、悪路も通過することも発生します。
そのため、製造においては、多少の衝撃でも壊れないように、かなり丈夫に製造することになります。また、素材の制限もあります。
- ガラスのサイズで、大開口を設けることは難しい。
- 動くことにより割れやすい素材(石、タイルなど)は使用が難しい。
場合によっては、お客様からのご要望で、素材の指定などがあることも考えられますが、こちらの点に留意していただくことが必要となってきます。
(4) 都市ガスを使用できない
トレーラーハウスでは、都市インフラ(ライフライン)のなかで、水道、電気は、通常の建築と同様なシステム(引き込み)を使用することができます。インフラ使用の条件があり、特殊な工具を使用することなく、トレーラーハウスとライフラインを着脱する必要があります。
ライフラインのなかで唯一仕様ができないものが、都市ガスです。都市ガスは、ガス漏出による危険性が高いため、簡易な着脱が認められておりません。ガスは代替として、プロパンガスを利用することとなっています。タンク容量があるため、定期的なプロパンの交換が必要になります。
(トレーラーハウス設置検査基準マニュアルは、こちらよりご参照ください。)
一般社団法人日本トレーラーハウス協会HPより
http://www.trailerhouse.or.jp/pdf/manual2018.pdf
———————–
いかがでしたでしょうか。以上が、トレーラーハウスの主要なデメリット(気を付けること)です。
適法かつ適切な使用を心がけて、メリット活用による使用の工夫をしていきましょう。